伝統織物情報
山形県【紅花染】
紅花染は、山形県を代表する伝統染色で、最上地方は江戸時代から「最上紅花」の産地として知られました。紅花の花びらから赤と黄色の色素を抽出し、絹などに鮮やかな紅や柔らかな黄を染めます。特に紅色は婚礼衣装や高位の装束に用いられ、「魔除け」や「祝いの色」として尊ばれました。山形では栽培から染色までの技が受け継がれ、現在も工房や体験施設でその美しい色合いを楽しむことができます。
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群馬県【桐生織】
桐生織(きりゅうおり)は、群馬県桐生市を中心に生産される伝統的な織物で、「西の西陣、東の桐生」と称されるほど高い技術で知られます。起源は千年以上前にさかのぼり、江戸時代には幕府の御用織物産地として発展しました。錦、緞子、金襴など多彩な織物を生み出し、ジャカード機の導入により複雑な文様表現が可能となりました。絹を中心に美しい光沢としなやかさを持ち、着物や帯、インテリア生地など幅広く用いられています。

東京都八丈島【黄八丈】
黄八丈(きはちじょう)は、東京都八丈島で織られる伝統的な絹織物で、鮮やかな黄色・深い茶・黒の三色を基調とします。黄色は島に自生する刈安、茶はマダミ、黒は椎や楠の樹皮から染め出され、すべて植物染料による草木染です。江戸時代には上質な絹と美しい色彩で評判を呼び、武家や町人の晴れ着として珍重されました。軽くしなやかで着心地が良く、現在も島の職人が糸染めから手織りまでを一貫して行い、伝統を守り続けています。
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京都府【西陣織】
西陣織(にしじんおり)は、京都市北区の西陣地域を中心に生産される高級絹織物で、約千年以上の歴史を持ちます。多彩な色糸や金銀糸を用い、錦、綴、緞子、唐織など十数種類の技法で華麗な文様を織り出します。室町時代に応仁の乱で西陣に集まった職人たちが技術を磨き、全国に名を馳せました。主に帯や能装束、祭礼衣装などに用いられ、美しい光沢と精緻な柄が特徴です。現在も分業制を守り、伝統と創意を融合させた織物が作られています。

京都府【爪掻本綴織】
爪掻本綴織(つめかきほんつづれおり)は、西陣織の中でも最も格調高いとされる手織り技法で、主に高級帯に用いられます。織り手が竹製の爪櫛を指にはめ、爪先で経糸をかき寄せて緯糸を密に織り込み、絵画のような文様を表します。緯糸だけで模様を作るため、表裏で同じ柄が現れ、立体的で重厚な風合いが特徴です。制作には高度な技術と長い時間を要し、一日に数センチしか進まないこともあります。その希少性と美しさから、 美術工芸品としても高く評価されています。
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京都府【京絞り】
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京絞り(きょうしぼり)は、京都で発展した絞り染め技法の総称で、平安時代から宮廷文化とともに受け継がれてきました。布を糸で括る、縫い締める、板で挟むなど多様な方法で防染し、文様部分と染色部分のコントラストを生み出します。中でも「鹿の子絞り」や「辻が花」などは、繊細で華やかな模様が特徴です。絹地に鮮や かな京の色彩を重ねた作品は、着物や帯に用いられ、優美で上品な風合いを醸し出します。熟練の職人技が今も息づく染色工芸です。

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山口県(柳井縞)
柳井縞(やないじま)は、山口県柳井市で江戸時代から織られてきた木綿の縞織物です。藩の奨励により発展し、庶民の着物や仕事着として広く用いられました。藍染めの糸で織られる縞模様は、細縞から太縞まで多様で、丈夫さと風合いの良さが特徴です。明治以降は洋装化に伴い衰退しましたが、近年は地元有志の手で復興が進められ、日用品や小物、インテリアなど新たな形でも活用されています。素朴で温かみのある織物として親しまれています。

山口県 【玖珂縮】
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玖珂縮(くがちぢみ)は、山口県岩国市玖珂町周辺で江戸時代から織られてきた木綿の縮織物です。強く撚った糸を用いて織り、湯通しすることで細かなシボ(凹凸)を生じさせ、さらりとした肌触りと優れた通気性を持たせています。藍染めを施した縞や格子柄が多く、軽く涼しい着心地から夏の着物や肌着として庶民に愛用されました。明治以降は衰退しましたが、地域の伝統工芸として復元や保存活動が行われ、涼感と素朴な風合いが再評価されています。
協力織元 玖珂縮の会

福岡県【小倉織】
小倉織(こくらおり)は、福岡県北九州市小倉で江戸時代初期に生まれた綿織物です。高密度に織られた経糸により、丈夫でしなやかな質感と美しい縦縞模様が特徴です。武士の袴地として広く用いられ、藍や茶の深みある色合いが粋とされました。明治期に一度姿を 消しましたが、昭和後期に復元され、現在は色彩豊かなモダンデザインも登場。帯やバッグ、インテリアなど幅広く活用されています。伝統と現代感覚が融合した織物として親しまれています。
協力織元 (一社)豊前小倉織研究会

大分県【豊後絞り】
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豊後絞り(ぶんごしぼり)は、大分県豊後地方で江戸時代から伝わる絞り染めの技法です。布を糸で括る、縫い締める、板で挟むなどして防染し、藍を中心に染め上げることで独特の模様を生み出します。素朴で力強い柄から繊細な文様まで多彩で、浴衣や手ぬぐい、風呂敷など日常の布製品として親しまれました。明治以降の洋装化で一時衰退しましたが、近年は地域の職人や愛好家によって復興が 進み、伝統の藍色と手仕事の温かみが再評価されています。
協力織元 豊後遊草会

佐賀県【鹿島錦】
鹿島錦(かしまにしき)は、佐賀県鹿島市に伝わる極めて精緻な手織りの絹織物で、江戸時代末期に武家の女性たちの手すきの技から発展しました。金銀糸や色糸を用い、織物というより刺繍に近い細やかな文様を表現します。光沢があり、柄は吉祥文様や花鳥など多彩で、まるで宝石のような美しさを持ちます。現在は着物地としてではなく、名刺入れや小物、アクセサリーなどに仕立てられ、贈答品や工芸品として高く評価されています。伝統技法は限られた職人により受け継がれています。
協力織元 鹿島錦保存会

長崎県【島原木綿】
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藍染めの青を基調とした縦縞模様「島原木綿」は、地域に残る記録から
400余年の歴史を持つ織物と言われ、長崎県島原半島の北部で盛んに
織られていた織物です。その後 第二次世界大戦時に金属供出等でその
技術が途絶えてしまいましたが、昭和62年、歴史民俗資料館落成の折りに
復活の機運が高まり、地元のお年寄りのかすかに残る織りの経験と記憶を
もとに見事に再興させることができました。
現在は「島原木綿織保存会」で復活を遂げた木綿織を次世代へ繋ぐため
日々一本一本の糸と向き合いながら活動しています。
「人の道と木綿の道は一本たりとも間違ってはならぬ」との先人の言葉
を忘れず、100年の織機と道具達に感謝しながら織りの道を続けて行きた
いと思っています。
協力織元 島原木綿保存会

熊本県【天草更紗 】
「更紗(さらさ)」とは、海外から舶載された外来の模様布のことです。天草更紗は、安土桃山時代に、ヨーロッパや中近東、インドなどの更紗を、長崎出島を通じ、西欧人によって伝えられたとされています。その後、江戸時代に入り、舶来更紗を真似て技を身に付けた職人の手で製作され、庶民に愛される布になっていったとされます。 天草更紗は後継者がなく何度か途絶えていた時期がありましたが、現代になり、もともと染織家だったこともあり、現染元の中村いすずの元に市長や文化協会から復興の依頼がありました。また郷土史家等が収集された資料を寄贈してくださるご縁に恵まれたことから、再度復興に取りかかることになりました。結果、2002年に「平成の天草更紗」として再び復興を遂げました。

宮崎県【綾の手紬】
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綾の手紬(あやのてつむぎ)は、宮崎県綾町で作られる手織りの絹織物で、昭和40年代に地元の有志が養蚕から製織まで一貫生産する形で復興させました。手でつむいだ糸を植物染料で染め、手機で丁寧に織り上げるため、柔らかく温かみのある風合いが特徴です。草木染めによる自然な色合いと、素朴で優しい光沢は一点ごとに異なり、長く使うほどになじみます。反物や帯のほか、洋服や小物にも活用され、現代の暮らしに寄り添う工芸品として親しまれています。
鹿児島県【本場奄美大島紬】
本場大島紬は、長い歴史と伝統を誇る鹿児島県を代表する伝統的工芸品である織物です。 大島紬の工程は、大きく分けて30数工程あり、図案に始まり織り上がるまで半年近くかかり、1つ1つの工程が、非常に複雑で高度な熟練した技術が要求されます。 長い歴史のなかで商品や技術開発がすすみ、その結果、緻密な絣模様や、軽くて、暖かく、しなやかで、着くずれしないなど数々の賞賛される優れた特徴が生まれました。 現在、大島紬は伝統的な泥大島や、泥藍大島といったものから、ニューカラーニューデザインの色大島や白大島と、今では、色・柄・風合いなど豊かなバリエーションをもっています。 このため、着用範囲も広がりおしゃれ着としての気軽な外出着としてだけでなく、お茶会や、成人式・結婚式にと色々な場面で着られるようになりました。 そして、今また、洋装・インテリア・小物としての大島紬の製品化も進み、世界的デザイナー森英恵さんがパリコレで大島紬婦人スーツを発表されるなど、洋装分野での大島紬も脚光をあびてきています。

沖縄県 【首里織】
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首里織(しゅりおり)は、沖縄県那覇市首里地区で受け継がれる伝統的な織物の総称で、王朝時代には琉球王府の保護のもと発展しました。花倉織(はなくらおり)、道屯織(どうとんおり)、花織(はなおり)など多様な技法があり、絹糸や苧麻糸を用いて鮮やかな色彩と格調高い文様を織り出します。かつては王族や士族の衣装として用いられ、その繊細さと気品から「織物の宝石」とも称されます。現在も職人が伝統技術を守りつつ、帯や小物など新たな作品を生み出しています。
協力織元 那覇伝統織物事業共同組合

沖縄県【知花花織】
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知花花織(ちばなはなおり)は、沖縄県沖縄市知花地区に伝わる絹織物 で、緯糸の一部を浮かせて文様を織り出す「花織」技法を用います。約600年前の琉球王朝時代に始まり、王族や士族の礼装として用いられました。幾何学的で色鮮やかな模様は、紅型にも通じる南国らしい華やかさを持ちます。戦後、一時途絶えましたが、地元の織り手によって復興され、現在は帯や着物、小物などに仕立てられています。沖縄の誇る繊細で格調高い織物として高く評価されています。

沖縄県【南風原花織】
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南風原花織(はえばるはなおり)は、沖縄県島尻郡南風原町に伝わる絹織物で、緯糸を部分的に浮かせて柄を織り出す「花織」技法が特徴です。起源は約600年前の琉球王朝時代にさかのぼり、王族や士族の衣装として用いられました。幾何学的で可憐な文様と鮮やかな色彩が南国らしい華やかさを醸し出します。戦後に一時衰退しましたが、地元の織工や保存会が復興に尽力し、現在では帯や着物、 小物として制作・販売されています。伝統と美を今に伝える織物です。
協力織元 手織工房おおしろ

沖縄県【紅型】
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紅型(びんがた)は、沖縄を代表する伝統的な型染めで、鮮やかな色彩と大胆な図柄が特徴です。起源は14〜15世紀の琉球王国時代、中国や東南アジア、日本本土の染色文化の影響を受け発展しました。型紙と防染糊を使って布に文様を描き、赤・青・黄など多色を重ねて彩色します。植物や動物、幾何学模様など南国らしい意匠が多く、王族や士族の礼装として用いられました。現在も職人の手で着物や帯、額装、雑貨など幅広い作品が作られています。
協力織元 紅型作家 新垣優香

沖縄県 【読谷山花織】
読谷村花織(よみたんそんはなおり)は、沖縄県中頭郡読谷村に伝わる伝統的な絹織物で、緯糸を部分的に浮かせて文様を織り出す花織技法を用います。起源は約600年前の琉球王国時代にさかのぼり、王族や士族の礼装として珍重されました。落ち着いた地色に赤や黄、緑などの色糸で織り込まれた幾何学模様が特徴です。戦後、一時途絶えましたが、地元の織り手や保存会の努力で復興し、現在は帯や着物、小物などとして制作され、沖縄の織物文化を今に伝えています。
沖縄県【ロートン織】
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ロートン織(ろーとんおり)は、沖縄県で織られる絹織物の一種で、絽織(ろおり)とトンボ花織の技法を組み合わせたことから名づけられました。経糸を部分的に抜いて透け感を出す絽織に、緯糸を浮かせて文様を作る花織を加えることで、涼やかさと華やかさを兼ね備えた布地となります。琉球王国時代には夏の礼装や帯地として重宝され、特に士族や王族の装束に用いられました。現在も首里や読谷などで伝統技法が継承され、夏用帯や着物として人気があります。
協力織元 機織工房しよん


















